パンデミック下の企業経営3 – 施設管理サービス企業(ドイツ)・5月初旬時点

2020-05-05

新型コロナウィルスによる経済活動の停滞が世界各国で始まり、数か月が経つ。諸外国の企業は現在どのような経営状態であるのか?

当社が過去に調査経験のある産業界における諸外国の主要企業のビジネスマンに以下のような質問を行ってみた。

  1. 現在のサービス提供活動の状況。サービス提供リソースの稼働率。
  2. 現在の販売活動の状況。通常時の何%程度の販売実績にとどまっているか。
  3. 現在の労務管理状況。通常時の全体従業員数の何%程度の従業員がレイオフや解雇されているか。また、現在勤務している従業員の勤務形態(通常勤務、在宅勤務、時短勤務等)はどのような状況か。
  4. 新型コロナウィルスによる経済不況下を生き延びるために、特に実施している経営施策。(新規事業への進出、新製品の開発等)
  5. 新型コロナウィルスが蔓延する以前の経営状態への復帰計画、および政府による社会経済活動の復帰計画。

4月末~5月初旬にかけて、ドイツの大手施設管理サービス企業の営業担当マネージャーにインタビューを実施する機会を得ることができた。以下に、それぞれの質問に対する回答をご紹介する。

 

質問1. :現在のサービス提供活動の状況はどのような状況か?

回答:当社は新型コロナウィルスによる経済不況に入ってからも、それ以前から提供してきていた全サービスを継続して提供し続けている。ドイツでは、サービス提供キャパシティの約70%程度が稼働できている。イギリスではそれが約50%、フランスやイタリアでは約30%となっている。顧客からの施設や設備の修繕や修理要求に対して、特に急を要しないケースにおいては、サービス提供を指し止めている状態である。これはドイツのみならず、他国においても同様である。

 

質問2:現在の販売活動の状況はどのような状況か?

回答:当社は施設・設備の清掃、メンテナンスサービスを提供しているが、医療施設に対する清掃やメンテナンスサービスの販売実績は約20~30%程度伸びている。その他の種類の施設へのサービス提供状況は幾分減少しているものの、全体としての業績はまずまずの水準を維持できている。このため新型コロナウィルスによる経済不況の影響はそれほど甚大ではない。当社は6月末に経営会議を実施する予定であるが、その際に今後の経営方針が詳細に検討されることになっている。当社は契約社員(作業員)の確保に向けて、他の民間企業との提携を増やしていく計画を持っている。国内の各地域で契約社員(作業員)を供給できる地場企業と提携することにより、作業員を地域間で移動させることなく、居住地に近い作業現場に勤務できるように努めている。このことは、新型コロナウィルスの感染を抑制する観点でも必要なことであると考えている。全体の販売実績は減少してはいるものの、すぐに挽回できるものと考えている。

 

質問3:現在の労務管理状況はどのような状況か?

回答:契約社員(作業員)の約10~15%が解雇された。正社員に関しては、所属部門や役職によって報酬の減額割合を変えるシステムが採用されている。例えば、役員は3か月分の報酬額を返上し、マネージャーは約50%の給与カットが適用される一方で、ジュニアスタッフや単純作業員の給与は可能な限りカットしないように努めている。多くの従業員には在宅勤務が適用されている。出社している従業員の割合は全体の20%程度である。作業現場においても、一度に就業する作業員の数は通常の約40%を超えることはない。当社は、施設の修繕・メンテナンスを要する箇所の有無をAI等の技術を活用して判断したり、ロボットを活用して現場作業の一部を代替したりする試みを進めている。このような試みの結果、現場の作業人員の人数を削減することができている。

 

質問4:新型コロナウィルスによる経済不況下を生き延びるために、特に実施している経営施策は存在するか?(新規事業への進出、新製品の開発等)

回答:医療機関向けに部屋の清掃やフロアメンテナンス、患者の医療データの収集といったサービスを提供したり、民間企業向けに従業員の健康・医療に関する情報の記録・モニタリングといったサービスを提供したりしていく予定である。

 

質問5:新型コロナウィルスが蔓延する以前の経営状態への復帰計画、および政府による社会経済活動の復帰計画について把握されている情報を教えてほしい。

回答:ドイツでは現在、経済活動を徐々に復帰させようという雰囲気が生まれつつある。経済活動を早期に再開させなければ、多くの従業員が更なる経済的損害を被ることになる。今後の具体的な事業方針は6月以降に発表される予定である。

 

インタビューに応じてくれた施設管理サービス企業のサービス提供リソースの稼働率は5月初旬時点で約70%とのことである。現在の経済不況下では、他業種の企業と比べてかなり高い稼働率を維持できているようである。特に医療機関向けのサービスへの需要が拡大しているという点は、同業種の企業にとって新たなビジネスチャンスが訪れていることを示している。今後この企業が今までの経営方針にどのような修正を加えていくのか、時系列に可能な限り追いかけていければと思う。

 

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投稿者:松下 哲夫

投稿日:2020年5月5日