{“main-title”:{“component”:”hc_title”,”id”:”main-title”,”subtitle”:””,”title_content”:{“component”:”hc_title_image”,”id”:”title-image”,”image”:”https://suppligence.com/wp-content/uploads/2018/10/blog-1024×199.jpg|350|1797|1332″,”full_screen”:false,”full_screen_height”:””,”parallax”:false,”bleed”:””,”ken_burn”:””,”overlay”:””,”breadcrumbs”:true,”white”:false},”title”:”イギリス建設業界2 – 生物多様性サービス”},”section_5ZtkF”:{“component”:”hc_section”,”id”:”section_5ZtkF”,”section_width”:””,”animation”:””,”animation_time”:””,”timeline_animation”:””,”timeline_delay”:””,”timeline_order”:””,”vertical_row”:””,”box_middle”:””,”css_classes”:”no-paddings-y “,”custom_css_classes”:””,”custom_css_styles”:””,”section_content”:[{“component”:”hc_column”,”id”:”column_vtfQF”,”column_width”:”col-md-12″,”animation”:””,”animation_time”:””,”timeline_animation”:””,”timeline_delay”:””,”timeline_order”:””,”css_classes”:””,”custom_css_classes”:””,”custom_css_styles”:””,”main_content”:[{“component”:”hc_wp_editor”,”id”:”Xhugf”,”css_classes”:””,”custom_css_classes”:””,”custom_css_styles”:””,”editor_content”:”■生物多様性サービス\n\n土地開発やインフラ開発と自然環境保護は相反する面がある。道路や橋を建設すれば、森林を伐採し草地を舗装することになる。土地開発と自然環境保護のバランスを如何にして確保していくかという課題は、建設会社にとっての永遠の課題であり、先進国家においては、これからますます重要性が増してくるトピックであると思われる。\n\nこの両者のバランスを確保するために必要なノウハウを蓄積し、サービスとして顧客企業に提供する試みを、イギリスの建設最大手企業であるBalfour Beatty社が実施している。同社はインフラ開発や住宅開発といったプロジェクトを進めるにあたり、その地の生物多様性[1]を維持・向上させることを支援するサービスを提供している。これは自社が主導するプロジェクトのみならず、他の建設会社や土地開発会社が主導するプロジェクトに対してもサービスを提供している。そのサービスの概要を以下に記す。\n
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生物多様性サービス(Biodiversity services)
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同サービスの主な顧客は、同業他社である建設会社が中心となっているが、そのほかにも、行政機関やNGOへのコンサルティングサービスの提供に加えて、エンジニアリング会社やメーカー、電力会社等へのサービス提供実績も存在するとのことである。
\n \n\n■生物多様性サービスの特長\n\n同社のサービスの紹介文書には「Biodiversity Net Gain」というフレーズが頻出する。これは、直訳すると「生物多様性の純増」となるが、土地開発の結果、その地の生物の生息環境を開発前の水準以上に充実させることを指しており、このサービスが目指すゴールを端的に表すキーワードである。土地開発によって失われてしまう自然を補うという発想ではなく、土地開発をきっかけにして、その地の自然をより豊かなものに変えていくという発想の転換が、サービス設計の根底にあるという点が、このサービスの特長の一つとなっている。\n\nこのサービスのもう一つの特長は、開発対象となる土地の生物の生息環境を捉えるにあたり、定量的なアプローチを採用している点である。具体的には、開発対象となる土地に存在する生物の生息環境(例えば野生の松林や、低地草原、沼地、河川など)それぞれについて、\n
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\nといったパラメーターを設定することにより、それぞれの生物の生息環境ごとに生物多様性ユニット(Biodiversity Unit)と呼ばれる数値を定義していく。開発対象の土地に存在する生物の生息環境全てのユニット値の合計が、開発プロジェクト前の段階でのその地の生物多様性ユニットの値となる。開発後の推測地も算出し、それが開発前の数値よりも大きくなるようにするためには、どのような対策を取るべきかを議論していくことになる。この生物多様性ユニットを計算する方法は、イギリスの環境・食糧・農村地域省(Department for Environment, Food and Rural Affairs、略称: Defra)の関連行政組織であるNatural Englandが現在Beta版として公開しているが、Balfour Beatty社のサービスでは、このNatural Englandが公開する生物多様性ユニットの計算方法を元にしつつ、必要な修正を加えたものであるようである。\n\nNatural EnglandがBeta版として公開している生物多様性ユニットの計算方法\n\n\n\n(出所:Natural Englandウェブサイトより取得したThe Biodiversity Metric 2.0 User Guideより抜粋、http://publications.naturalengland.org.uk/publication/5850908674228224、2020年6月23日参照)\n\n同社のサービスの三つ目の特長は、Biodiversity Net Gainの実現に向けた自然環境保護施策の優先順位を検討するためのフレームワークが存在する点が挙げられる。このフレームワークは「コンサベーション・ヒエラルキー(Conservation Hierarchy)」と呼ばれている。\n\nコンサベーション・ヒエラルキーでは、自然環境保護施策は5つの階層に区切られて定義されるべきであるとされている。5つの階層とは、\n
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\nと定義されており、この順に実行の優先順位が高い。つまり、オフセットできる他の施策があるからといって既存の生物の生息環境を安易に破壊してしまうのではなく、あくまでも既存の生物の生息環境の維持、回復にこだわるという考え方を採用している点が特徴的である。\n\nコンサベーション・ヒエラルキーの概念図\n\n\n\n(出所:コンサベーション・ヒエラルキー紹介ウェブサイト、https://conservationhierarchy.org/what-is-conservation-hierarchy/mitigation-hierarchy/、2020年6月23日参照)\n\n \n\n■生物多様性サービスを立ち上げた目的とサービスの展開に向けた各種活動内容\n\n同社がこのサービスを立ち上げた理由は、インフラ建設事業者として自然環境保護活動に力を入れる姿勢を示すことで社会的責任を果たし、同時に自社をエコ企業として社会に認知させることにより、企業のイメージアップを図るという意味合いはもちろん存在するはずである。しかしながら、同社の安全・環境管理領域のディレクターにインタビューを行ってみると、同サービスを立ち上げた目的には、上記以外に自社の収益を拡大させることも含まれているとのことであった。同社は2015年当時、2011年より継続して減少し続けている売上・営業利益を拡大させるため、「Build to Last(企業存続に向けた構造改革)」と呼ばれる業績回復プログラムを立ち上げた。インタビュー回答者によると、このプログラムの一環として生物多様性サービスが2016年に立ち上げられたとのことである。同サービスを立ち上げた目的は、既存のプロジェクトより可能な限り多くの営業利益を導出するためであったとのことである。サービスを立ち上げた当初は、同社のインフラ建設プロジェクトに対してのみサービスを提供していたが、後に建設サポートサービスの一つとして他企業にも提供するようになったとのことである。\n\n\n\n(出所:Balfour Beatty社の年次報告書)\n\n同サービスへの需要は、以下のような理由により年々拡大してきているようである。\n
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\n近年の同サービスの売上は2016年には約7,000万ポンド(全体売上の約0.9%)であったが、2018年には約2億ポンド(全体売上の約2.4%)に達したとのことである。\n\nこのBiodiversity Net Gainと呼ばれる活動を世間に広め盛り上げるために、同社は政府、大学、土地開発会社、建設会社、NGO団体等と以下のような活動を実施している。\n
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\nイギリスでは現在、新しい環境法案(Environment Bill 2019-21)[10]が審議されている。その法案が施行されると、土地開発を計画する際にはBiodiversity Net Gainを実現する前提で計画を立案することが義務化されることになるという。[11]これはイギリス政府がインフラ開発と自然環境保護の両立に、今まで以上に力を入れる姿勢を表したものである。この動きは、同サービスの市場への普及を力強く後押しすることであろう。\n\n \n\n■日本企業が参考にするべきこと\n\n2020年には、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が中国の雲南省昆明市で開催される予定であったが、これは延期になった。しかしながら、近い将来この会議は開催されることになるだろう。これは、各国において生物多様性維持に向けた取り組みが今まで以上に活性化されるタイミングになる。\n\n日本の大手建設会社も生物多様性維持に向けた取り組みはすでに実施しているものの、各社ともCSRとしての取り組みの範囲を出ていないように推測する。しかしながら今後は、生物多様性維持に向けた取り組み自体が、自社の収益の向上、顧客基盤の強化に直接寄与する時がやってくるかもしれない。自然環境保護の取り組みを単に「社会に対する責任を果たすためのコスト」としてとらえるのではなく、「自社の企業イメージを向上させつつ収益力もアップさせる戦略的取り組み」と位置付ける。日本の建設会社がこのようなビジョンを描こうとするならば、イギリスの建設会社の取り組みには参考にするべき点があると言えるのかもしれない。\n\n \n
\nまずは、お気軽にご連絡ください。\n\nTel. 03-3366-2323\n\nEmail. info@suppligence.com\n\n \n\n投稿者:松下 哲夫\n\n投稿日:2020年6月24日\n\n \n\n[1] 生物多様性とは、多くの種類の生物が存在し、かつそれらが繋がり合っていることを指す。 (出所:環境省 生物多様性ホームページに記載内容より記述、http://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/about.html、2020年6月23日参照)\n\n[2] CIRIAとは、Construction Industry Research and Information Associationの略称。イギリスの建設業界に関する研究組織であり、中立で独立した非営利団体。\n\n[3] CIEEMとは、The Chartered Institute of Ecology and Environmental Managementの略称。イギリス、アイルランド、およびその他諸国の生態学者と環境管理者を支援している専門会員組織。\n\n[4] IEMAとは、Institute of Environmental Management and Assessmentの略称。イギリスおよびその他諸国の環境保護の専門家を支援する専門機関。\n\n[5] 対象文献は、https://cieem.net/wp-content/uploads/2019/02/Biodiversity-Net-Gain-Principles.pdfよりダウンロード可能。2020年6月23日時点。\n\n[6] 出所はイギリスの建設業界専門情報サイト「pbctoday」における記事。https://www.pbctoday.co.uk/news/planning-construction-news/achieving-biodiversity-net-gain/71259/、2020年6月23日参照。\n\n[7] 出所はイギリス政府主催イベント告知サイト「Government Events」のBiodiversity Net Gainに関するセミナーの紹介ページ。https://www.governmentevents.co.uk/event/biodiversity-net-gain-planning-system-conference/、2020年6月23日参照)\n\n[8] 出所はBalfour Beatty社のウェブサイト。https://www.balfourbeatty.com/media/317352/balfour-beatty-a-better-balance-a-roadmap-to-biodiversity-net-gain.pdf、2020年6月23日参照)\n\n[9] 対象文献は、https://cieem.net/wp-content/uploads/2019/02/C776b-Case-studies.pdfよりダウンロード可能。2020年6月23日参照。\n\n[10] 出所はイギリス議会ウェブサイト、https://services.parliament.uk/bills/2019-21/environment.html、2020年6月23日参照)\n\n[11] 出所はイギリスのコンプライアンス関連情報提供ウェブサイト「Croner-i」における記事。https://app.croneri.co.uk/feature-articles/biodiversity-net-gain-new-mandatory-system#:~:text=In%20March%202019%20the%20Government,all%20new%20developments%20in%20England.&text=Defra%20defines%20BNG%20as%20%E2%80%9Can,measurably%20better%20state%20than%20beforehand.、2020年6月23日参照。”},{“component”:”hc_space”,”id”:”oQqHP”,”css_classes”:””,”custom_css_classes”:””,”custom_css_styles”:””,”size”:””,”height”:””}]}],”section_settings”:””},”scripts”:{},”css”:{},”css_page”:””,”template_setting”:{“settings”:{“id”:”settings”}},”template_setting_top”:{},”page_setting”:{“settings”:[“lock-mode-off”]},”post_type_setting”:{“settings”:{“image”:””,”excerpt”:”土地開発やインフラ開発と自然環境保護は相反する面がある。道路や橋を建設すれば、森林を伐採し草地を舗装することになる。土地開発と自然環境保護のバランスを如何にして確保していくかという課題は、建設会社にとっての永遠の課題であり、先進国家においては、これからますます重要性が増してくるトピックであると思われる。”,”extra_1″:””,”extra_2″:””,”icon”:{“icon”:””,”icon_style”:””,”icon_image”:””}}}}